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FAP療法は、脳の記憶を整理する治療法です。
ショッキングな出来事があった時、私たちはその出来事に対して、たくさんの感情を感じます。
怒り、悲しみ、恐怖など、複雑な感情を一気に感じますが、それらが強すぎるあまりに、脳の適切な場所に収めることが出来ません。
例えば、本来「怒り」のフォルダに収めるべき感情を、無理やり「悲しみ」のフォルダに収めようとしてしまうのです。(無視されて悲しい、と思っていたけど、本当は猛烈に怒っていた!みたいな感じでしょうか)
わかりやすく言うと、本屋さんで「心理学」のコーナーに入れるべき本が、「料理」のコーナーに入れられようとしている感じ。
料理のコーナーに並べられた心理学の本は、他の本と比べて異様に目立ちますよね。
それはまるで「心理学のコーナーに戻して〜〜!!」と、本自体が主張しているかのよう。
そう、適切な場所に入れられなかった記憶は、ちゃんとした場所に格納されるまで、自分の存在をアピールし続けるんです。
それが脳内で起こるフラッシュバック(過去の嫌な出来事が思い出されること)の仕組み。
FAP療法は、そういった脳内でバラバラになっている記憶を適切な場所にはめ込んでいく治療法です。
記憶の整理は、夜寝ていて夢を見ている時に行われるので、FAP療法を受けた日は不思議な夢を見ることがあります。
私はこれまで、おお〜これが記憶を整理している夢か!という夢をたくさん見てきました。
FAP療法を受け始めたばかりの頃は、両手をバタバタさせ、首をぶんぶん振りながら「いやいや!!いや〜〜〜!!」と言いながら起きました。
(自分の手がバタバタしていて起きました笑)
すごく辛かった昔の人間関係が、今も気になって仕方がない、という治療をしてもらった時は、その当時の人間関係がオールスターズで出てきました。
(本物の悪夢でしたね…)
NOと言えなかった頃、嫌なのに断れないお誘いを受け、虫唾が走るほど行きたくないのに、
行かないという選択肢が取れなかった頃の「どうしよう」という感情を、当時の鮮度のまま夢で見たこともあります。
(朝だんだんと目が覚める時の感覚とともに、もう乗り越えたから行かなくていいんだ!と、今の自分の感覚を思い出しました)
夢の中で小さな体の私が、「お前のせいで」という顔をした母に背を向けられ、置いていかれた夢も見ました。
それはまだ言葉を話せなかった頃の心の傷なのか、喋ろうとしても何も言えなくて、届くはずのない声をあげようと必死で、「うわあああああああ!!」と一生懸命叫び、その声で目が覚めたこともあります。
目が覚めると、(おそらく見捨てられ不安による)恐怖でしばらく眠れなかった。
まだ言葉を話せなかった頃の生々しい感覚を感じた瞬間でした。
恐怖といえば、昔ある支配者との関係で猛烈なトラウマを作ってしまったのですが、治療で抑圧していた怒りをようやく吐き出せるようになった頃、
夢の中でその支配者とすれ違い、強い怒りを覚えて支配者に向かって「おい!」と怒声をあげたのですが(夢の中だったらなんでもできる!笑)、
その瞬間、鬼の形相をした支配者がこちらに向かって突進してくる夢を見たこともあります。
驚きと恐怖で目が覚め、夜中3時、布団の中でしばらくぶるぶる震えていました。
あまり挙げるとFAP療法ってしんどい治療なのかな?と思われそうですが^^;、
夢は、当時目に見えない無意識の世界では何が起こっていたのかを、目に見える形で教えてくれます。
つまり、それだけしんどかった状況を耐え抜いてきたということ。
辛くてたまらない状況にいた時は、解離して(意識を切り離して現実感を薄めて)しまっているから、逆に耐えられてしまっていた。
改めて悪夢で当時の状況を見ると、おお〜そんな苦しかったのか!よく耐えたな!と思えて、よく頑張ったね、と自分のことを褒めてあげたくなる。
もちろん、毎回強烈な悪夢を見るわけではないです。
異様に眠くなって過眠が続いたり、逆に脳がフル回転して眠れなくなったり。
その時々のテーマや心の傷によって睡眠の調子に変化はありますが、脳が動いて記憶を整理してくれています。
記憶が整理されると、これまで感じていた恐怖などの不快な感覚が手放され、手放した分だけ自由に行動できるようになります。
そう、FAP療法は眠りながら心の傷を整理してくれて、目が覚めた私を新しい世界に連れて行ってくれる。
(つづく)
FAP療法体験記は、あと1回で一旦終了です。
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