3/9 「パズルのピースがはまらない苦しみは先祖のもの」 Blog

私が働けるようになった日

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私はFAP療法に出会う前、人生で一番辛い日々を送っていました。

涙をコントロールできず、夜に泣いて、疲れて泣いたまま寝て、朝目が覚めた瞬間から涙の続きを流していた日があった。

あまりのストレスで左胸が痛みだしたけど、それはどれくらい前からだったか、思い出そうとすると頭に電流のような痛みが走り、思い出すことができなかった。

「これ以上は覗くな」と、脳に言われているような感覚でした。

これまでどんなことも踏ん張って耐えていたけど、その時は内側から壊れていくような感覚がありました。

これ以上は本当に壊れてしまうと、最後に残ったギリギリの理性で、私は会社を辞め、FAP療法に出会いました。

私は、あまりの傷の深さに、しばらく働くことができなかった。

そもそも私は、初めて会う人が怖くてたまらないというトラウマを持っていました。

なぜ怖くてたまらないのか、自分の記憶を探っても、ピンとくるトラウマが出てこないけど、どうしても怖かった。

お客さんだったり、取引先だったり、新しい仲間だったり、ほとんどの仕事は「初めて会う人」がいます。

なのでこれまでも自分を誤魔化しながら、かなり無理して働いていたのですが、その時のトラウマがきっかけで、もう二度と働けないだろうな、というところまで追い詰められてしまいました。

この傷を抱えたまま、初めて会う人だらけの新しい職場に行くことなんて、不可能だと感じていた。

私はFAP療法で辛かった日々のトラウマを始め、これまでの人生で作ってきたトラウマをどんどん癒していき、どんどんできることが増えました。

すごく生きやすくなった。だけど、最後までどうしても働くことができなかった。

とにかく働くことに抵抗していて、失業保険や貯金などでなんとか賄ってきたものの、お金は底を尽き、これ以上は引きこもれないというところまで来てしまいました。

そう、引きこもりは裕福でないとできない。

追い詰められた私は、カウンセラーに働かないといけないこと、でもどうしても初めて会う人が怖くて、仕事したくないことを訴えました。

FAP療法を受けていると、治療中のイメージとして、これまでの人生で責められたり、怒鳴られたりした記憶が走馬灯のように流れていきました。

小学生の時、夏の課外活動で暑くてお水を飲むと、「先生の許可なく飲むなって言っただろ!」と怒鳴られたこと。

学生時代、男性教師に怒鳴られたこと。

職場で初めましての段階で、目をつけられて陰口を叩かれ、しばらく居心地が悪かったこと。

バイト先で仕事のミスをして、お客さんに聞こえるほど怒鳴られたこと。

「愛想が悪い」と、責められたこと。

いろんな記憶を眺めていると、その一つがだんだん遠くなり、小さな粒となっていきました。

そしてそれは、大きな川の一滴の水となり、川の途中で水の流れに合流して、流れていく様子が見えました。

私は昔、『大河の一滴』(五木寛之著)という本を読んだことがあります。

大河の一滴とは、人はみな、大河(大きな川)の一滴であり、小さな水の粒に過ぎないが、大きな水の流れをかたちづくる一滴であり、永遠の時間に向かって動いているリズムの一部だ、という意味。

川の流れのイメージを見ながら、この「大河の一滴」という言葉が私の脳裏をかすめました。

この川の流れは、時代の流れで、先祖が経験したことと私が経験したことは、ひと続きの体験なのかもしれない。

そう、大きな太い川の上流を先祖が生きて、中流で私が合流し、下流で子孫にバトンを繋いでいく。

私は自分の人生を一生懸命生きているつもりだったけど、本当は先祖が経験したことを、舞台を私が生きている時代に変えながら、追体験しているだけなのかもしれない。

ああ、私は自分の意思で生きていると思っていたけど、本当は大きな川の流れの中で、生かされていたんだな。

私は治療中にイメージを追いかけながら、そんなことを考えていました。

確かに私の先祖は、「開拓」してきた人でした。

開拓とは、新しい分野・領域・進路などを切り開くこと。

私は初めての人だけではなく、初めて覚える仕事や初めて勉強する内容も苦痛でたまらなかったんです。

この治療で見えてきたのは、私が怖かったのは自分がしたことを怒鳴られたり、責められたりすることでした。

だからそうならないように、怒鳴られないとわかっていること、慣れ親しんだことだけをやりたかったんです。

現代を生きる私が新しい何かを恐れるほど怒鳴られたり責められたりしてきたということは、私の先祖は開拓する過程で、ひどい批判にさらされた可能性が出てきました。

そう、先祖が生きていた時代の経験を再演しているから、私の記憶の中にオリジナルの体験はなかったんです。

私はこの治療の3日後に、仕事を始めていました。

初めての人が怖いという深刻な恐怖は、電話恐怖に姿を変え、そして今では実生活において、ほとんど問題にならないほどになりました。

私はこの経験から、先祖のトラウマを癒すと、家系が繰り返してきた負のループから抜けられるのではないかと考えるようになりました。

そして、新しい世界を切り拓き、自分たちが生きるこの時代に、もっと豊かな生き方ができるようになるのでは、と感じるようになったんです。

(FAP療法体験記/終わり)

いつもブログを読んでいただきありがとうございます。

長期にわたって書かせていただいたFAP療法体験記は一旦これで終了ですが、また折に触れて書きたいなと思っています。(人生は螺旋階段ですから!)

次回は、先祖から繰り返す家系のトラウマについて書きたいと思っています。

結構面白いので、書くのが楽しみでワクワクしています。

時々休憩☕️として、最近私の中でブームのドラマや本から心理を読み解く記事を書きたいな、と思っています。

次回からもよろしくお願いします!😄

<参考>

ブログでご紹介した『大河の一滴』です。

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この記事を書いた人

心理系に興味があったものの情報系の道に進み、やっぱりカウンセラーが諦められなくて転身。

このHPを作りました。
インターネットワークも脳のネットワークも得意。なんちゃって。

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