FAP療法とは
FAP療法とは(株)インサイト・カウンセリング代表の大嶋信頼先生によって発見・体系化された心理療法で、ブリーフセラピーの一つです。
FAP療法では、カウンセラーが脳のミラーニューロンを通じて相手の脳を真似て、クライアントの心の傷を探ります。
それをまたクライアントのミラーニューロンを通じて返すことによって心の傷を打ち消す心理療法です。
ミラーニューロンとは?
他人の行動を見ている時、自分がそれと同じ行動をとったかのように活発になる脳内の神経細胞のこと。
例えば、他人がカップを持ち上げる動作を見た場合、ミラーニューロンはその動作を自分自分が行っているかのように活動し、その結果、観察者の脳内にもカップを持ち上げる行動のイメージが生じます。
心の傷は打ち消し合うことで癒される
心の傷があるとき、脳内では記憶と感情がバラバラになってしまっています。
例えばあまりにも強い「怒り」を感じたとき、脳はその怒りを処理しきれず、間違えて「悲しみ」など別のフォルダに入れようとしてしまうのです。
そうすると脳はその記憶を整理するため、その時の「あまりにも強い怒り」あるいは「出来事」どちらかをフラッシュバックさせるようになります。
この怒りはなぜかいつも怒りを感じてしまったり、身体症状に転化し痛みとして現れたりすることになり、
出来事の方は感情が解離してしまっているため、そんなに辛い体験をしたとは思えないほど淡々と語れたりします。
整理するにはその出来事で「怒りを感じた」と気づくだけで良いのですが、あまりにも強い感情に苦痛が伴い、なかなかトラウマの蓋を開くことができません。
そこでカウンセラーがミラーニューロンを通じてクライアントの心の痛みや身体症状を感じ取ります。
受け取ったカウンセラーは、「こんなに苦しい思いをして生きてこられたのか」とクライアントに対して敬意を覚えるようになります。
それをまたクライアントのミラーニューロンを通じて返すことにより、クライアントは初めて「自分はこんなに大変な思いをして生きてきたのか」と、脳と体が感じていることが一致し、バラバラになった記憶を統合できるようになるのです。
これがFAP的共感です。
呼吸を合わせることで心の傷が伝わってくる
ではどのように相手の脳を真似するのか?という疑問が出てくるかもしれません。
FAP療法は現代催眠療法がベースとなっており、カウンセラーがチューニング(呼吸合わせ)をして相手の脳を真似します。
相手の呼吸をよく観察し、自分の呼吸を合わせることでミラーニューロンがより活性化し、より深く相手の痛みを理解することができるようになるのです。
一体何をするの?
FAP療法ではミラーニューロンや現代催眠の他に、言葉を用いて治療します。
例えば面と向かって悪口を言われたとき、怒りや悲しみを覚えると思います。
このとき体の中では「怒りを感じるホルモン」や「悲しみを感じるホルモン」が分泌されています。
言葉によって人を傷つけられるのなら、言葉によって心を癒すことも可能なのです。
具体的な手順
- 目を閉じて、カウンセラーが指定する言葉(主軸コード)を聞いて何を感じるかに注目する
- カウンセラーがぶつぶつ唱える言葉を聞き流しながら、頭の中で繰り返し主軸コードを唱え、身体感覚やイメージに注目する
- 治療の合間で身体感覚やイメージをカウンセラーにフィードバックする
- 「ゆっくり目を開けてください」の言葉をかけられたら終了です。
身体感覚とイメージのコツ
身体感覚:「何も感じない」も一種の感覚なので無理に感じようとしなくてOK。今どんな感覚なのか?注目し続けてみましょう
どんなことに効果があるのか
様々な身体症状や精神疾患に効果を発揮します。
あらゆる心理的な不安のほか、PTSD、恐怖症、強迫性障害、食いしばりや不眠、神経過敏や慢性的な体の痛み、原因不明の疲れなど、幅広い問題に対して有効です。
ただし、治療にかかる回数には個人差があります。
注意すべきこと
より効果を感じられるよう、注意すべきことをまとめました。
・治療中は部屋の中にある飲み物を外に出しておいてください。
被曝してしまい、口にすると体調が悪くなる恐れがあるためです。
・同様の理由でご家族やペットのいる部屋では受けないようにお願いいたします。
・治療後は部屋の外にあるお水をよく飲んでください。トラウマ治療にはお水が効果的です。
・睡眠によって定着するので、治療後の数日間は早めに寝ることを心がけてください(理想は22:30就寝です)。
・効果をしっかりと定着するため、治療は1週間あけての施術が望ましいです。
・治療にかかる期間や回数には個人差があります。