支配とは、ある幻想でがんじがらめにして罪悪感を持たせることです。
ある人は人が怖いことで悩んでいました。
どの集団に属しても馴染むことができず、誰かと話をする時はできるだけ相手を立てて怒られないように気を遣い、連絡が返ってこないと「嫌われたかもしれない」と思い込んでずっとそのことを考えてしまいます。
この人は、「私の本心は聞く価値がない」という幻想を入れられています。
本心で話すことが出来ないので自分らしくいられず、楽しそうに話をしている周囲の人たちとどう接していいか分からなくて孤立感を抱いてしまいます。
誰かと1対1で話をしている時は、相手が決して気分を害さないように気をつけます。
相手の気持ちの方が優先なので、自分の本心が何を感じているかがわからないし、たとえ何かを感じていたとしても伝えることはありません。
友人と連絡を取っている時も、相手の気持ちになってどういう言葉が適切で、どうすれば相手に喜ばれるかを考えて返信をします。
その返信が返ってこないと、私の何がいけなかったのだろうと一生懸命反省します。
そして、「自分の本心は聞く価値がない」ので、自分の本心を話さずになんとかしようとします。
なんとか集団の中に入って用意して来た話をしますが、緊張して体が硬直していて、自分が話すと場の空気が白けてしまいます。
そして集団に属することが余計に怖くなります。
1対1で話をしている時は、余計に相手の気分を害さないように気をつけるので、相手が何かを自分に言った時に言い返せません。
そしてまた、次は何を言われるんだろう、と怖くなります。
連絡をとっている時は、相手はただ忙しかったり、返信を忘れたりしただけなのに、一生懸命文章を考えて相手の返信に一喜一憂します。
そして、自分には味方がいないと怖くなります。
この人は、「私の本心は聞く価値がない」という幻想を入れられただけなのです。
本当に価値がないわけではありません。本心を話すことに罪悪感を入れられているのです。
「私の本心は聞く価値がない」という色眼鏡をかけられてしまったので、周りの景色がその色眼鏡の色で見えてしまい、みんなが「私の本心は聞く価値がない」と思っているように見えているだけです。
そしてその色眼鏡は、幼い頃に誰かにそっとかけられてしまったので、色眼鏡のない物の見方が分からないだけなのです。
その色眼鏡を外してみたら。
あんなにも怖いと思っていた人たちが、自分の話に親身に耳を傾けてくれ、自分の感じていることを理解したいと思いながら接してくれることに気づくのかもしれません。
支配とは、つまり色眼鏡のことです。
もし今、色んな色の眼鏡をかけられ、濁った世界が見えているのなら。
一つひとつその色を抜いていけば、透明な世界が広がっています。
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