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相手のためを思ってあれこれと考え出す時、脳内ではドバッとホルモンが出て、そのホルモンを通して相手のことを見てしまいます(ナラティブで書いています)。
ホルモンを通して見た相手は本来の相手の姿ではないので、どんなに素敵なアドバイスを思いついたとしても、考えれば考えるほど、伝えれば伝えるほど相手の心は離れていってしまいます。
ここで、相手とすれ違う時のもうひとつのポイントは、相手は自分の思い描いた通りの姿ではなく、自分の思い通りではない方を叶えてしまうということです。
例えば、あるお母さんが息子に勉強してほしくて勉強させようと思えば思うほど、息子は真逆のことをしてしまうとします。
お母さんは、息子はこういう性格だからこういうことを考えて、こうするに違いない。だから私が勉強させないと、というふうに、一生懸命考えているのです。
ですが、脳内で思い描いた相手のイメージは相手の本来の姿ではないので、息子が勉強しないという決断を下すまでのプロセスは、お母さんが思い描いた通りではありません。
お母さんの知らない世界で経験してきたことや、繊細な感情の機微までは、息子の脳を透かして見ることができないからです。
ですがここで残念なのは、「息子は勉強しない」というアウトカムだけが、お母さんが考えていた通りになることです。
なぜこんなことが起きるのかというと、お母さんが一生懸命息子を思って脳内でホルモンを出せば出すほど、悲しいことに息子の心が離れていってしまうから。
息子は、口うるさく勉強しなさいと言ってきたり、脳内で一生懸命考えられたりすると、それがプレッシャーに感じて無意識に避けようとしてしまいます。
つまり、「勉強しなさい」を避けようとして勉強したくなくなるのです。
お母さんが一生懸命自分のことを考えているのを避けようとして、お母さん(の願い)を避けようとしてしまいます。
こうして人はすれ違っていきます。
ですが、本当に「息子のため」を思うことはダメなことなのでしょうか?
息子のことをあれこれ考えてしまうのは、自分の願いが息子に通じないストレスで脳が炎症を起こしているから、考えることを止められないのです。
つまり、炎症の下では息子と通じ合いたい、理解し合いたいと願っているということ。
息子もお母さんを無意識に避けようとしてしまうのは、本来の姿を見てくれないお母さんに、自分のことを理解してもらいたいと願っているから。
お母さんも息子も、本心では通じ合いたいと思っているのです。
「息子が勉強するかどうか」という表面的な問題に隠された奥深くの本心を掘り下げることができれば、意外にも同じ思いを共有していたりするのです。
(つづく)
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