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FAP療法でこれまで恐怖を感じていたことが少しずつできるようになります。
私は電話が怖いことに長年悩まされてきました。
電話のコール音が鳴ると、周囲にバレないように平静を装うけど、内心はパニックで嫌な汗が流れてきてしまう。
受けて用件を聞くだけならまだ、一瞬だけ心を奮い立たせればできたとしても、こちらから電話をかけるとなると、何時間も前から気が重くて仕方がなかった。
いざかけるという時は、話す内容を書き起こしてそれを読まないと話せない。
相手からの予想外の質問はかなり狼狽しながら言葉を絞り出していました。
電話不安や電話恐怖症は、主に仕事の場面において支障があり、深刻です。
私はこの電話が怖いという悩みでFAP療法を何度か行ってもらいました。
FAP療法を受けると、この間まで恐怖を感じていたことが、少しの抵抗でできるようになってしまいます。
その活動範囲の円周が広がる様子がとても面白いんです。
治療前は、狭くて暗いところに閉じ込められています。
自分が問題なく活動できる範囲を円に例えるとしたら、その円は初めはとても小さくて狭い。
自由に活動できないので、体がとても窮屈に感じます。
私の場合は自分を中心としてわずかな半径の間でしか活動できませんでした。
電話をかけると思うと何時間も気が重たくなるのは、恐怖という壁に囲まれていて、そこを抜けて外の世界へ行くことに抵抗を感じるから。
コール音が怖くて震えるのは、活動範囲の円周、つまり恐怖の壁の存在をはっきりと認識しなければいけないからです。
ですが、FAP療法を受けると活動範囲の半径が広がって、昨日まで抵抗があったことができるようになります。
私の場合はまず、電話を受けるということが反射的にできるようになりました。
コール音が鳴ったらすぐに手が伸びるようになり、わずかな進歩を感じました。
でも、そうして許された円の面積の中で活動しているうちに、また恐怖の壁にぶつかります。
私の場合は、電話をかけるのが怖い、誰かがいる時に電話を受けるのが怖い(電話応対を聞かれるのが怖い)、という恐怖です。
そこでまたFAP療法を受けて治療が進むと、活動範囲の円周がさらに広がって、電話をかけるのも誰かが自分の電話応対を聞いているのも問題なくなりました。
今度は、トークスクリプトを手放して電話するのが怖い、という恐怖の壁にぶつかります。
そしてさらに治療が進むと、トークスクリプトを用意しなくても、自分の言葉で話せるようになりました。
こうして私は電話不安を少しずつ克服していったのです。
FAP療法は、活動範囲の円の面積の中で、壁にぶつかっては広がり、ぶつかっては広がり、という感じでどんどん自由になっていき、生活しやすくなっていきます。
恐怖や抵抗を少しずつ手放していくと、自分らしい生活が送れるようになっていくんです。
(つづく)
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