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私たちは何世代も前から、同じ経験を繰り返しています。
一見自分の意思でとったように思える行動でも、それは先祖の経験から影響を受けているのかもしれません。
たとえば愛情や支援、喜びなどの「功績」の他、搾取や病気、事故などの「負債」など、先祖が経験したあらゆる出来事が私たちの身にも起こります。
この考え方を理解するために、先祖のトラウマについて研究している『The Ancestor Syndrome』(ご先祖さま症候群)の著書、アンヌ・アンスリン・シュッツェンベルガーさんが、先祖の影響を感じた体験が面白く、わかりやすかったのでご紹介します。
戦後間もなく心理学を学んでいた学生時代、アンヌさんは経済的に苦しい状況にあった。
そんな時、いとこの一人が自然な流れでアンヌさんに「お金を貸してあげる」と申し出てくれた。
アンヌさんは、義理や負い目を感じることなくその申し出を受け入れ、学業を終えて働き始めると、そのお金を返済した。
しかし同僚たちは、年下のいとこがどうして簡単にお金を貸そうと言い出せたのか、またそれをアンヌさんが難なく受け取ることができたのかが理解できなかった。
そう言われて考えてみると、アンヌさんの祖父は14歳で両親を亡くし、6人兄弟の長男で、兄弟姉妹の学費を稼ぐために、非常に早い時期に働き始めていた。
その後、スイスで博士課程を修了した祖父の姉妹のひとりが、医薬品研究所の開設に貢献した。
彼女は化学者で薬剤師の男性と結婚し、少しの収入を得てパリに落ち着いた。
それからアンヌさんのいとこ、つまり祖父の妹の子孫(祖父のおかげでスイスで博士課程を修了した人の子孫)が、アンヌさんに「お金を貸してあげる」と申し出てくれた。
どういうわけか、それは「何かと何か」の釣り合いだった。
彼女はアンヌさんに「もしできるなら、私にお金を返して。もしできなければ無理に返さなくていいし、後で返してもいい。5年後でも50年後でもいい。それは重要ではない」と言った。
アンヌさんの例は、アンヌさんの祖父が兄弟姉妹に「功績」を残した例として紹介されています。
祖父が残した功績は、兄弟姉妹の無意識の中に刻まれていて、その恩が子孫を通じてアンヌさんに返されました。
そして、いとこのお金を返すのは「5年後でも50年後でもいい。それは重要ではない」という発言は、自分が返した恩が、また巡り巡って自分あるいは自分の子孫が受け取ることになるという、無意識に刻まれた、親戚との繋がりに対する信頼が感じられます。
これらは子孫にとって嬉しい例でしたが、もちろん「負債」を残された場合は、子孫がその負債を返済することになります。
何世代にもわたって繰り返されるこれらの体験を、本書では「家族の帳簿」に例えて説明されていました。
(※帳簿:事業で発生した取引やお金の流れを記録した台帳のこと。)
事業では、帳簿をもとにバランスシート(貸借対照表)が作成されます。
バランスシートとは、企業の資産、負債、純資産の状況を示した書類のこと。
つまり家族に愛情(功績・資産)があるか、問題(負債)があるかを、目に見える形で理解するために、バランスシートに例えているわけです。
図で例えるとこんな感じになると思います。

愛情と相互配慮が多くあれば、家族の帳簿は均衡が取れています。
しかし帳簿が均衡していない場合、問題は世代から世代へと受け継がれる可能性があると述べられています。
そしてアンヌさんは30年にわたるセラピーの経験から、地理的な距離や家族台帳からの離脱は、「負債」から人を本当に解放することにはならないと気付いたそうです。
なぜなら、耐え難い漠然とした目的のない罪悪感に囚われて、身動きがとれなくなるため、その人の人間関係全体に悪影響を及ぼす可能性があるから。
そして、人々が同じ態度を絶え間なく繰り返し、変化しない場合、清算が停滞し、繰り返されるか、あるいは永遠に先延ばしにされる可能性があるとのこと。
これが、神経症やその他の症状が続く理由であると述べられています。(すごい発見だな😳!!)
ということは、自分が置かれた苦しい状況は、自分のせいなどではなく、先祖から続けてきたサイクルであると気づき、もう同じ態度を取る必要はないことを知ると、この負のループから一歩外に出ることができるのかもしれません。
(つづく)
<参考>
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