3/30 「家族の一員となった養子の病気」 Blog

家族の秘密を暴いて自由になる

前回の記事はこちらから

あわせて読みたい
子供を通して自分自身が癒される 前回の記事はこちらから https://nabi-counseling.com/o-20250320/ 前回まで、先祖のトラウマを知らないうちに受け継ぎ、同じ体験をしてしまうことについて書きました。...

家族の秘密は、言葉で伝えられなくても、無意識を通じて次世代に影響を与えます。

それはまるで、閉じられていない先祖の墓から戻ってきた幽霊のように、再び現れてしまう。

The Ancestor Syndrome』(ご先祖さま症候群)で書かれていた、自分の祖父について何も知らない男性の話をご紹介します。

(※本書では、『The Shell and the Kernel: Renewals of Psychoanalysis』という本からの引用と書かれています。つまり、孫引き[=直接に原典から引くのではなく、他の本に引用された文章をそのまま用いること]でご紹介することを、先にお断りしておきます。)

男性は、地質学を愛していました。

毎週日曜日になると、石を探しに出かけ、石を集めたり割ったりしていました。

また、蝶を追いかけ、捕まえるとシアン化物(※強い毒性を持つ)の瓶に詰め、それを画鋲で留めることもしていました。

この男性は、これほど平凡なことはない!と、非常に居心地が悪くなり、カウンセリングを受けることに。

しかし、精神分析を含むいくつかの療法を試しても、あまり効果はなく、自分の人生に満足していませんでした。

彼はアブラハム(『The Shell and the Kernel』の著者)に会い、その家族を調査し、数世代前の情報を調べることを提案されました。

そして、この男性には誰も話題にしない祖父(母方の祖父)がいることを知りました。それは、家族の秘密でした。

アブラハムは、男性にその祖父の家族に会いに行くことを勧めました。そして、彼は祖父が恥ずべきことをしていたことを発見しました。

祖父は、銀行強盗の容疑をかけられており、おそらくもっと悪い犯罪も犯していたことがわかったのです。

祖父は強制労働を命じられ、「石を砕く」(フランス語でcasser les cailoux、つまり強制労働を意味する)ことをさせられ、その後ガス室で処刑されましたが、孫である男性はこれらのことを何も知りませんでした。

象徴的な輪が閉じられ、孫は知らなかった秘密、『母親の心の奥にあるもの』の秘密を明かしました。

この男性は、祖父のことを知らなかったにも関わらず、祖父がしていたことを繰り返すように石を砕き、毒ガスで殺された祖父を象徴するかのように、毒で蝶を殺していました。

お母さんが、『心の奥』にその秘密をしまい、明かしていなかったとしても、孫である男性が、祖父の行動を無意識に再演していたのです。

このように、先祖のある人物が重大な秘密(犯罪や不名誉な出来事)を抱えたまま亡くなり、その秘密が誰にも明かされず、家族の中で暗黙の了解で「話してはいけないもの」になっていたとしても、その秘密は「幽霊」のように現れ、次世代の内面に影響を与えます。

孫である男性自身は、「自分には問題ない」と考えていても、秘密の存在を知らないため、自分の不安感や心の葛藤の理由がわかりません。

しかし、子供は家族の秘密を直接聞いていなくても、親の行動や雰囲気(親が急に沈黙する、家族の話題を避けるなど)から、「感じる」ことがあります。

そして、この男性のように、秘密を言葉で明確に知らなくとも、内面に保持し続けてしまいます。

大嶋先生は、たくさんの反省がやめられなくて苦しんでいる人の共通点として、「ファミリーシークレット(家族の秘密)」の問題があると述べています。

見ない、聞かない、反省しない―なぜかうまくいく人の秘密―』という本によると、子供には【幼児的万能感】があります。

幼児的万能感とは、エレベーターが自分の身長よりも高い位置にボタンがあっても、「僕が押す!僕が押す!」と騒ぐような、「自分は何でもできる!」という感覚。

「どんなこともできる」という万能感は、「あんなことも私の責任」と思ってしまう特徴があるのだそうです。

親の浮気、経済的な問題、親の病気、家族の犯罪、家族の死の原因など「子供に話さない方がいい」と判断してファミリーシークレットを作れば作るほど、子供は「自分のせいで家族が変なことになっている!」となります。

(中略)

ですから、ファミリーシークレットを暴いてあげることで、過去の自分は「反省」から解放されて自由に生きられるようになるのです。「あなたのせいじゃないんだよ!」とわかるから。

大嶋信頼先生著『見ない、聞かない、反省しない―なぜかうまくいく人の秘密―』p.154より

前回の記事でご紹介した、6歳の時の母親の交通事故死を自分のせいだと思い込んでいた男性のケースは、まさに幼児的万能感のしわざでしたね。)

そう、ファミリーシークレットになっている先祖のトラウマのせいで、受け継いだ者たちは自分自身を責めてしまう。

人の心に、秘密の重さは毒なのです。

だけど、言葉にしなくても伝わる家族の秘密を暴くことで、私たちは理由のわからない苦しみから解放され、自分の人生を歩んでいけるようになります。

(つづく)

<参考>

続きはこちらから

あわせて読みたい
家族の一員となった養子の病気 前回の記事はこちらから https://nabi-counseling.com/o-20250328/ 家系のトラウマは、川底に沈む土のように、その家族の一員である人々の意識の根底、つまり無意識で深...
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

心理系に興味があったものの情報系の道に進み、やっぱりカウンセラーが諦められなくて転身。

このHPを作りました。
インターネットワークも脳のネットワークも得意。なんちゃって。

コメント

コメントする

目次