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ファミリールールとは、「家族システムの一員でいるために」守らなければいけないルールのことです。
ほとんどの場合、それは暗黙のルールとして機能しており、いちいち意識していなくても、「我が家ではこうする」というふうに、当然のことと見なされます。
例えば、誰もが「衝動買い」「節約」を経験したことがあるかと思いますが、どのような状況で「衝動買い」するのか、そして「節約」したくなるのかは、人それぞれです。
今月の出費はいくらに抑えよう!と決めても、あれれ?今週もまだ半ばなのに使い切ってしまった!となったり、罪悪感でいっぱいで、反動で必要なものまで節約しようとしたりするのは、ファミリールールを守るためだったりします。
簡単に言ったら、親が子供の頃に、自分にどのようにお金を使ったか(使わなかったか)が関係していたりするのですが、それが子供の頃に条件付けされた「我が家で生きていくためのファミリールール」なのです。
そしてこのファミリールールは、他人との関わりの中でも、知らないうちに顔を出します。
Aさんは、親に罰としてお小遣いを取り上げられ続けた結果、自分の調子が悪い時にイライラするようになって、「そうするのが当然」と言わんばかりに、周りにものを恵んでもらおうとするようになりました。
(そりゃ、取られてないんだからもらわないとね!)
Bさんは、親とお金のやり取りをする時に、ちょろまかしても許されることに味を占めて、何人かで食事に行ったら、テーブルで積極的に計算して「いくらね」と伝え、いざレジに移動したら、なぜかお金が足りないふりをして、誰かに多めに払ってもらうことを繰り返していた。
(”うっかり足りない”が最強カード!あっ、現金払いだった!)
このふたつの例は、どちらも相手のものをとるような例として書きましたが、その出方が違うことにお気づきでしょうか。
Aさんは、自分が調子が悪い時に、お小遣いを取り上げられる罰を思い出して、物乞いしてしまう。
Aさんの家のファミリールールは、「調子が悪いとお金を取り上げられる」です。
自分の不調は何かを差し出すサインなので、無意識のうちに「じゃあ先に、誰かからもらっておこう」という考えが、暗黙のルールです。
対してBさんは、相手が何も言ってこないことをいいことに、自分の財布から、出すべきものを出さない。
Bさんの家のファミリールールは、「正直者がバカを見る」です。
ごまかしても誰も何も言わない、「黙っていたら得する」というルールが考えられます。
もちろんお金以外でも、恋愛でいつも自分を傷つける人を選んでしまったり、仕事や試験などで「ここぞ」という時に実力を発揮できなくなったりするのも、ファミリールールが影響しています。
このようなファミリールールは、親からいちいち「我が家ではこうするからね」と説明のないものがほとんどなので、自分ではそれがルールだとすら気づいていないことが多いです。
気づいていないということは、「なぜ苦しいのかわからない」という生きづらさを抱える要因ともなり得ます。
ですが、言葉にしなくても伝わることは、言葉にすれば、振り回されることがなくなります。
そう、振り回されているのは、「暗黙の了解」という言葉のうちの、「暗黙の」という部分なのです。
暗黙の了解を明文化する(言葉にする)ことができれば、自分の家族や家系に対する深い理解が得られます。
そして、これまで家系が繰り返してきたトラウマから解放され、今まで使えなかった、家系から受け取っていたリソースを、出し惜しみなく発揮できるようになるのです。
人生が行き詰まった感覚がする時に、「我が家の“ファミリールール”はなに?」と思ってみると、無意識に守ろうとしていたルールに気づき、これからの選択に、自分らしさを取り戻せるかもしれません。
(つづく)
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