4/19 「心の檻から出してくれる橋」 Blog

私たちは間接的に「戦争のトラウマ」と闘っている

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昔から、人の心の傷ばかり背負ってきた私は、「この傷はもとを辿ればどこに辿り着くんだろう?」ということを考えてきました。

私の「大切にされない」という心の傷は、両親自身にも、大切にされないという心の傷があったから。

そして両親が大切にされなかったのは、時代背景から、祖父母にも余裕がなかったからなのではと、そう思うようになりました。

まだ先の時代にも先祖はたくさんいますが、とりあえず、「生きている時に会える人たち」ということで、3世代に限って話を展開すると、「戦争」が大きな影響を及ぼしているような気がしてきます。

戦争は、今まで積み上げてきたものが一瞬で破壊されます。

街の建築物や社会システム、経済、地域の人々との絆、ありとあらゆるものが、爆弾ひとつでいとも簡単に壊されてしまう。

そして、人々との愛着を形成するなんて二の次で、死ぬ恐怖と隣り合わせの中、明日を生き延びるために必死な日々だったことと思います。

戦っている相手の国の人たちは、私たちと同じ人間であるにも関わらず、こんなにも自分たちをめちゃくちゃに傷つけ、壊していく彼らへの憎しみが、きっと簡単に消えることはなかったでしょう。

今の時代を生きるトラウマを持っている人たちも、普段このような状況の中、生きています。

人と関わるのが怖く、自分の中にある怒りや恐怖と闘い、そして、自分が積み上げられるはずの人間関係やキャリア、才能などを破壊してしまう。

もちろん人と関わって死ぬようなことはないのですが、感じている恐怖は、それに近いものがあったりします。

そう考えると、私たちは時代という舞台を変えて、祖父母たちが負った戦争の傷を、請け負っているのかもしれません。

私がよく記事に書いている「初めての人が怖い」「電話が怖い」という恐怖は、実際には人や電話で死ぬことがなくても、先祖が迫害されたトラウマが背景に隠れているのでは、と考えると、この恐怖の強さに辻褄が合うんです。

大嶋先生はよく、「日本を元気にしたい」とおっしゃっていますが、そこには「敗戦国のトラウマを癒す」というニュアンスが隠れており、過去のブログでは、「英語が苦手」という人を治療していたら、体験していないはずなのに、戦争の怖いエピソードが出てきたという記事がありました。

私も敗戦国としてのトラウマは、日本人の根底に流れていると感じます。

例えばよくSNSで見かける「欧米の人と比べると日本人は意見をはっきり言わない」というつぶやきには、やはり欧米人が良くて日本人はダメ、という含みを感じます。

過去、日本は戦争に負けて、しばらくの間、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部、最高司令官はアメリカのマッカーサー元帥)の統治の下、アイデンティティの再構築を迫られました。

ここで日本は民主主義の国にするための改革を行いましたが、同時にアメリカの指揮の下、西洋的な価値観を「進んだもの」として受け入れ、自国の文化に対して無意識の劣等感を抱くようになりました。

負けた上に、自分たちの今までのやり方を見直されるのですから、やはりアメリカは大きくて強いもの、というふうになってしまったのです。

ですが、アメリカ人が意見をはっきりと言うのは当然のこと。

なぜなら、英語は自分の意見を主張するようにできている言語だからです。

はっきりと「私は〇〇と思う!」と主張し、「なぜならそれはね…」と、それを論証(論理で証明)するのが英語的な考え方。

対して、日本語は「言わぬが花」で、主語が曖昧だったり(そう、英語は天気にも主語がある!It’s sunny today!)、「その日はちょっと…」という感じで、自分の意見を濁して伝えるのが美しい言語なのです。

「意見を言う」という部分だけを切り取って勝負するのは、日本人があまりにも欧米的な土俵に乗せられて、比較されてしまっているように感じます。

濁した言葉に隠されている日本人の才能は、相手をリスペクトすること。

自分の存在を傍に置いて、相手をリスペクトすることで、自分の頭の中に相手の見ている世界が広がります。

そして、争うことなく相手と協調しながら、相手のリソース(才能)を自分の中に取り込んでいくことができます。

そう、日本人は、平安時代には中国からやってきた漢字をベースにひらがなを作り、明治時代には、夏目漱石を始めとする文豪が、西洋の科学や哲学を日本語で表現するために、新しい言葉を創造しました。

そしてすでに、英語の考え方である論理的思考を輸入して、日本語のまま意見を言う技術だって、身につけつつあります。

日本人は、自分たちの文化と相手の文化を絶妙に混ぜ合わせ、新しいものを生み出す能力が、非常に長けているんです。

トラウマちゃんが抱えている、NOと言えない、相手の顔色を窺って合わせてしまう、あらゆるものを破壊してしまうという悩みの背景には、もしかしたら戦争のトラウマが隠れているのかもしれない。

そしてそれに気づくことができれば、日本人の中にある、「相手を尊重しながら新しい世界を作っていく」というリソースを思い出せるような気がするんです。

そして、どんな災害に見舞われたって、いつだってそうしてきたように、仲間と一緒に手を取り合って、自分たちの人生を、1から再生することができる。

トラウマちゃんたちが戦争のトラウマを克服した時、その大きな痛みを乗り越えて、先祖から受け継いだリソースを再び手に取り、豊かな未来を切り拓いていくのかもしれません。

(先祖のトラウマ/終わり)

読んでくださってありがとうございます。

時々休憩として、ブームのドラマや本から心理を読み解く記事を書きたかったのですが、やっぱり鮮度のいいうちに書かないと忘れちゃう😀

先祖のトラウマも、本を読んでだいぶ経ってたので、書きたいように書けない!!で大変もどかしい思いをしました。^^;(まだまだブログの書き方模索中・・・)

ということで、突然なのですが、明日から今ブームのテーマについて書こうと思います。

次回もどうぞよろしくお願いいたします^^

<参考>

大嶋先生 2023年6月17日のブログ『英語を喋る人が怖いのはなぜ?

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この記事を書いた人

心理系に興味があったものの情報系の道に進み、やっぱりカウンセラーが諦められなくて転身。

このHPを作りました。
インターネットワークも脳のネットワークも得意。なんちゃって。

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