使わないものを一生懸命溜め込んでしまうのはどうしてか。
それは、持っていない自分になるのが怖いからです。
物そのものが必要というよりは、「何も持っていない状態」に置かれることが、不安でたまらないから溜め込んでしまう。
その性格は、1歳半〜3歳ごろに決定しています。
フロイトの発達理論で、1歳半〜3歳ごろの「トイレトレーニング期」にあたる段階を「肛門期」と呼びます。
この時期は本来、子どもは「出す(排泄する)」ことを通して、自分の身体をコントロールできる喜びを知る時期ですが、
親の反応次第で、「出すこと」と「溜めること」のどちらの行いがいいことなのかを学びます。
「汚い!早く出しなさい!」と叱られると、「出すこと=悪」と覚えてしまう。
そして、「お利口さんね、ちゃんと我慢できたね」と褒められると、「我慢できる私=いい子」となります。
こうして「我慢する」「出さない」「ためる」方向にエネルギーが固定すると、だんだんと肛門性格の土台ができあがっていく。
そう、「失わないように生きる性格」が、身についていきます。
この世界で最初に捨てたくないものは便でした。
それが、物や、お金や、情報や、感情などに姿を変え、「いつか使う」と言いながら、使う予定のないたくさんのものを自分の周りに置いてきた。
それらは全部、溜め込むことで自分を守ってきたお守り。
お守りに囲まれた自分の心を覗いてみると、持たないと不安だった時間は、いつの間にか過去になっていたと気づくのかもしれない。
(つづく)

