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肛門期(1歳半〜3歳ごろのトイレットトレーニングの時期)で子供は、自分で排泄することで、自分の身体をコントロールすることを学びます。
トイレトレーニングを通じて、親と一緒に「何を出し、何を留めていいか」を頭ではなく肛門の感覚で覚える。
そこで学習したことは、大人になっても「安心をどのように表現するか」という型として残ります。
それが「肛門性格」です。
この時期に、出したものを「汚い!」と叱られたり、「我慢できてえらいね」などと褒められたりすると、「出すよりも溜めるほうが安全だ」と体で覚えていきます。
そうすると、溜め込んでしまう性格に育っていきます。
何を溜め込んでしまうかは、肛門期にどういう体験をしたかによって異なりますが、物を集めて所有することで安心しようとするタイプは「コレクタータイプ」。
コレクタータイプは、情緒的な温かさを十分にもらえなかった経験をしています。
自分の内側から生み出したもの(=排泄物)を、初めて外の世界に差し出した時、親が笑ってくれたり、喜んでくれたりすることで、子供は安心を覚えます。
しかし親が「処理」だけして終わる事務的な対応や、汚い!と批判的な対応だった場合、子供は「出す=満たされる」という回路を作れません。
出しても満たされない。差し出しても返ってこない。
そう覚えてしまうと、「じゃあ手元に残るものを持っておこう」と考え、排泄の場面で足りなかった安心やぬくもりを、「物」という形で補おうとするようになります。
物が「自分の一部」となり、「自分の安全基地」となるので、手放すことは「愛を失う」「心の一部を失う」ように感じてしまう。
だから、欠乏している愛を埋めるため、物はどんどん溜まっていきます。
このタイプが癒やされるために必要なのは、溜めるのを無理にやめることではありません。
捨てる練習ではなくて、「出したあとに、温かさが返ってくる」体験をすること。
具体的には、信頼できる人に自分の気持ちを表現し、否定せずに聞いてもらうこと。
自分の安全を脅かさないレベルの小さな物を捨てる時、「温かい飲み物を飲む」「胸やお腹に手を当てる」など、体に温かさを入れることなど。
コレクタータイプの癒しは、自分を責めずに「持たなくても大丈夫な自分」を少しずつ体に教えていくことから始まります。
そうやって、自分への信頼感、そして世界への信頼感が築かれていきます。
(つづく)

