前回まで「お金がない」という悩みを持った人のケースを見てきました。
「お金がない」シリーズはこちらからご覧ください。
(※この物語は全てナラティブで書いています。)
お金を稼ぎたいと願うあまり、必要以上に本や講座にお金を使ってしまっていました。
このケースの人の場合、お金を稼ぐこと、使うことのどちらにも心の傷が隠れています。
一般的には、お金を増やしたいのであればお金を稼ぐことの能力を強化したいと思うかもしれません。
ですが、使うことに対して心の傷が隠れている場合、たとえ月収が今の2倍に増えたとしても、同じ割合だけお金を使ってしまいます。
つまり、お金の流れがダイナミックに変わるだけで、根本は何も解決しない可能性があります。
現にこの人の場合、もし今より大きなお金が入ったとしたら、お金を使う対象が講座や本から服や旅行に変わることになりそうです。
「あなたは買い物依存の傾向がありますね。」
「ええ!?そんなわけないですよ先生。だって、私はお金を稼げていないから投資しないといけないんです。
それに、本当は欲しい服や化粧品とか、旅行や遊びは我慢してるんです。お金を稼いでから思う存分楽しもうと思って。(中略)」
2024-01-20ブログ – 【ケース2】お金がない、その裏には? より
この人は、父親による躾や教育が厳しすぎたため、「自分は何もわからない子」という幻想を入れられたために、「本」や「講座」という知識を入れるものにお金を使って、足りない自分を埋めようとしていました。
例えば仕事でストレスがあった時、本屋さんに立ち寄った時、ネットで仕事ができない人への愚痴を見かけた時など、「自分は無知だ」という心の傷が刺激された時に発作が起きてしまいます。
発作が起きると認知機能が低下してしまうので、自分のキャパシティを超えた量を購入してしまいます。
そして我に返った時、お金を使いすぎてしまったことや、買っただけでそれをこなせない自分を責めてしまいます。
このような買い物依存で分泌されているホルモンは、想像力のホルモン「ドーパミン」です。
ドーパミンは快楽物質なので、分泌されているときは幸せな気持ちを感じられます。
この人は、本屋さんで本を手に取るその瞬間、想像力が働いて「この本を読めばたくさん知識がついて自分は幸せになれるに違いない」と思い、買いすぎてしまいます。
また、ドーパミンは報酬系のホルモンなので、褒められても分泌されます。
例えば仕事で成果を上げて褒められた時や、頑張ってるねと褒められた時、それが刺激となって買いすぎてしまうこともあります。
「もっと褒められたい」、そうすれば自分が聡明な人間だと認められて「幸せになれる」と感じています。
つまり、お金を使いすぎることは、心の傷によってできた欠乏感を埋めようと、それを買えば「自分は幸せになれる」という気持ちによって生じています。
幸せになれる、と思うということは、幸せではない現実があるということです。
つまり、全ての始まりはお金ではなく、幼少期に受けた心の傷が原因でした。
ドーパミンが分泌してお金を使いすぎている間は、現実を忘れられ、「何もわからない子」と叱責された、あの辛い痛みを思い出さなくて済むのです。
そう考えると、「お金がない、お金がない」と日々の中で感じる苦しみの方が、実はダミーだったりするのです。
痛みをお金に逃して、心を守ってきたということですね。
この人のケースの場合は「知性」に対する心の傷だったので、本や講座に現れていますが、何か別のものに使いすぎるのであれば、別の心の傷が隠れているのかもしれません。
例えば「容姿」に対するコンプレックスがある場合、服や化粧品に使いすぎるかもしれません。
(その意味では、お金が入ったら服を買いたいと思っているこの人は、知性よりも深くに容姿に対する傷が隠れているのかもしれませんね。)
美容に使いすぎるのなら、「若さ」に心の傷があるのかもしれません。
これはあくまでも、必要以上に、家計を逼迫してまで、という意味です。
お金は自分の心からの平穏や喜びのために使えば、決して足りないということはありません。
自分の心の声をしっかり聞いて喜びのために生きているか、心の声を無視し痛みを隠して生きているか、ダイレクトに見せてくれるのがお金です。
もし、ついいつも買いすぎてしまうものがある場合、そこに何らかの心の傷が隠れているのかもしれません。
(つづく)
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