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私が日々の生活の中で困っていたことのひとつは、買い物のしすぎが止まらないことでした。
普段はそこまで物欲のあるタイプではない(と思っていた)のですが、何かの拍子に買い物のスイッチが入ると、いつもとんでもない量のものを購入してしまっていました。
「いつか必要になる」と、来るかどうかわからない未来の予測や、どう考えても使う時間が取れないのに「これを使えば今より良くなる」という無計画な向上心によって、何度もお金を湯水のように使ってきた。
そして私は、FAP療法によってこれをなんとか止めたくて、治療の場で何度も何度もお金がないということを訴えてきました。
無計画な私は、もちろん急にお金回りが良くなって、本当に買いたいと思ったものを瞬時に買えるだけのお金が欲しかった。
そう、私は本当に欲しいものを我慢して、「これを使えば幸せになれるはず」と思ったものばかりにお金を使ってきたんです。
お金回りが良くなって、買いたいと思うものを買うことができたら、この苦しい日々から解放されて、幸せになれると思っていた。
だけど、FAP療法で何度「お金がない」と訴えても、残念ながら私が夢見ていた一攫千金のようなことは起こりませんでした。
「治療していて手応えを感じない。別の悩みの方がいい」と言われたことだってあります。(うそーん!!)
諦めた私は、その時々で出てくる「旬の悩み」に向き合うことにしました。
それは仕事中に感じたストレスだったり、心に刺さった言葉の棘だったり、恥ずかしい自分の失態だったりしました。
一見、買い物やお金とは全く関係のない悩みに思えるのに、不思議なことに、私のお金遣いの荒さはどんどん落ち着いていった。
そう、買い物のしすぎはそれ自体がトラウマではなく、トラウマを隠して生活するための手段だったのです。
余計なものを買ってしまうということは、無理をして周りに合わせるために、自分の中の何かを売ってしまったということ。
私は売りすぎた自分のエネルギーや元気を取り戻すために、必要以上にものを買って、自分が売ったものを取り戻したかった。
「旬の悩み」に向き合って、他人と自分の境界線がしっかり引けるようになってくると、私はこれ以上自分のエネルギーを安売りしなくてよくなり、失われたエネルギーを取り戻すために買い物しすぎる必要もなくなりました。
そして、どんどん自分の生活や人生に集中することができるようになった結果、今の自分に必要なものがわかるようになり、
今まで買いすぎてきたものをお店で見かけると、「魅力的だけど、限られた時間の中で、これは今使えないな」と、きっぱり諦めることができるようになっていった。
そう、時間とお金の計算ができるようになってきたんです。
もし仮に、FAP療法で過去の私が望んだように、急に莫大なお金が入ってきたとしたら、私はきっと、同じようにお金を使いすぎていたと思います。
現実がすぐに変わってしまったら、それに適応してきた心は追いつきません。
買い物をしすぎるということ(ほかにもアルコールを飲みすぎる、食べすぎるなど、やめたいけどやめられないこと)で、絶妙なバランスを保ってきた心は、そのバランスを尊重しないと、悲鳴をあげてしまう。
少しずつ、自分の心を育てながら、だけど着実に望む未来に連れて行ってくれるのが、FAP療法の美しさです。
(つづく)
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過去ブログ「【解説】お金を使いすぎてしまう心の傷」はこちらから

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